マキタの電動工具は便利ですよね。私もインパクトドライバーとハンディ掃除機を使っていますがある日、充電中にピーピーと赤と青のランプ点滅と共に充電器から聞いたことがない音がなり、バッテリーの故障で充電ができなくなってしまいました。
購入してから4年経過していますので、バッテリーの寿命で故障したのかもしれません。
互換バッテリーを2つ持っており以前に1個故障、ついに2つ目も同じ症状で故障したのでニコイチで修理してみました。
注意:リチウムイオンバッテリーは取扱を間違えると発火、爆発の危険性があります。本記事は分解を推奨するものではありません。ご自身で分解を行う場合は自己責任でお願いいたします。
故障したマキタ18V互換バッテリーを分解
故障したバッテリーがこちら。型式:BL 1840、4.0Ahの互換バッテリーです。
星型の真ん中にポッチがあるトルクスビス、T10のサイズが4本で固定されていました。
ビス4本を外すと画像のように蓋を開けることができます。
8個直列に繋がれたバッテリーセルと基盤があるのみでシンプルな構造ですね。
ニコイチでバッテリー修理、セル交換
各セルの電圧をテスターで測ると、1個目のバッテリーは内部のセル10個中4個が0V、2個目は10個中2個が0Vでした。
1個目のバッテリーは6個電圧が出ているセルがあるので、生きているセル2個を2個目のバッテリー内の0Vだったセルと入れ替えてみました。
セルの取り外し
各バッテリーセルはスポット溶接されているので、マイナスドライバーでコジッて無理やり外しています。
セルを外しているときにマイナスドライバーがショートしてスパークしましたので、安全のためにこの後で養生と手袋をしています。
使用されていたセル
外したセルがこちら。
型式:LGDAHD2C1865
調べたところLG製のセルで2100mAh。
これは18650バッテリーと呼ばれるものでベイプやモバイルバッテリーなど幅広く使われています。
完全に放電していたバッテリーを皮むきしてみました。
中身も空けて見てみたいとも思ったのですが、危なそうなのでここまで。
18650バッテリーの名前の意味は寸法で直径18mm、長さ650mmから来ています。
セルを入れ替え、はんだ付け
スポット溶接されていたセルと端子の接点部分をはんだ付けしています。
元通りに組み立て直し、動作確認で掃除機に取り付けたところウンともスンとも言わなかった物が電源が入り動くようになりました。
修理したバッテリーを3ヶ月使用しました。修理後から繰り返して充電して使っていますが問題なく使用できています。
バッテリーから電圧が出ている場合は基盤の故障かもしれない
バッテリーと電動工具の接点部分をテスターで電圧測定して18V出ている場合は、バッテリーセルの不良ではなく基盤の故障の可能性が有ります。
基盤の故障だった場合は交換してみないと分かりませんので、使えるバッテリーの基盤を外して駄目な方に取り付けて試してみるか、以下リンクのAliexpressで交換用の互換部品が購入可能です。
マキタ18V互換バッテリー交換用部品
交換用基盤
基盤+ケースのみ
バッテリーセル
互換バッテリー
Aliexpressで注文する場合は中国から直送になります。送料無料もありますが、送料無料を選択すると届くまでに2〜3ヶ月かかるので、注文時に送料有料のプランを選択すると比較的早く届きます。
【追記】1年後、修理したバッテリーが再度充電できなくなる
バッテリーセルをニコイチで修理したバッテリーですが、約1年後にまた充電できなくなりました。再度、分解して各セルの電圧を計ってみると10本2本、前回交換した同じ場所のセルが0Vで過放電してしまっています。
簡単に図にするとこんな感じ。
0Vだった2本以外の電圧は3.5Vでした。
リチウムイオン電池の定格出力が3.6Vなので並列に二本ずつ接続されたバッテリーが5セット直列で接続されています。
3.6V×5=18Vなので、定格18Vバッテリーということですね。
ちなみにバッテリー容量のAh(アンペアアワー)は各セルの容量、3.0Ah~5.0Ahモデルは10個のセルで各セルの能力の違い、画像の2.0Ahモデルは5個のセルに減らして薄く軽い形になっているのだと思います。
同じ場所のセルが過放電してしまう原因を考察
基盤はバッテリーに接続されている線が+側1本、-側が2本で18Vと14.4Vを取り出しているのみです。
基盤は各セル間から電圧を取り出す回路が無いのでセルごとの充放電バランスがとられていないのが原因と思われます。
バッテリーの間に挟まるように付いていたこの白い部品は調べてみると、サーモスタットで100℃になるとスイッチがオンする代物でした。
過放電と過充電の制御はあるのだろうと思いますがバッテリーセルの表面温度が100℃になるまで制御されないのはどうなんでしょう?
過放電したセルを交換、充電後に再度電圧測定した結果
セルを交換後に充電器で充電、充電完了後に分解して電圧を計って実験してみました。
結果、問題の2本のセルが3.7Vで十分に充電されていませんでした。
この2本は充電にもっと時間が必要なのに対し、他のセルが先に十分に充電されてしまい合成電圧で充電完了が判断されてしまいます。2本だけ永遠に満充電されず、また使用後は2本だけ過放電となってしまう状況が使うたびに繰り返されてしまうのが原因だと分かりました。
長持ちさせるため、満充電できない2本のセルを強制充電
電圧を他のセルに合わせることでおそらく長持ちするはずと思って安定化電源で4.2Vを作り、直接セルにつないで充電。
1時間充電して3.8Vになって、もう2~3時間かなぁと考えていたら充電していることを忘れて一晩充電してしまいました。
リチウムイオン電池は過充電、過放電で火を噴いたりするらしいので要注意です。
最終的に交換した2本のセルが4.21V、その他8本が4.15Vで終了。
使ってみて変化があればまた追記したいと思います。
マキタ純正バッテリーも分解、互換バッテリーと比較してみた
こちらも5年くらい使っているマキタ純正バッテリー。まだ壊れておらず使っていますが互換バッテリーと構造を比較してみたかったので分解してみました。
トルクスビス、T10ですが、一ヶ所ネジ穴が樹脂でメクラされています。
メクラはドリルで揉んでキレイに取れました。
こちらがマキタ純正バッテリーの中身。
やはり互換品とは全く違います。各セル2本ずつの充放電のバランスを取る回路があるのでバッテリーの+端子への接続が5点あります。
これが互換品が安いのに対して純正バッテリーが長持ち&高額な理由です。
バッテリーセルの覆いもしっかりしており、外側と内側で2重に保護されていました。
職人さんが誤ってインパクトを落としても壊れにくいように作られているのだと思います。
長持ち、安全を考えればやはり純正がお勧めですね。
互換バッテリーは壊れやすく、デリケートなリチウムイオン電池が嫌う過充電、過放電による不具合や発火の恐れがあります。自己責任で使用しましょう。