電動ドライバーは主に木材等にビス打ちをするインパクトドライバーと穴あけ・ネジ締めができるドリルドライバーの2種類があります。
用途に応じて使い分けるのが適切であり、例えば金属に穴を空けるときにインパクトドライバーで穴を空けようとするときにインパクトをかけ続けるとドリルの歯が欠けてしまいますし、逆に木材にコースレッド等の長いビスを打ち込むときにドリルドライバーを使うとトルク負けしてプラスネジが舐めてしまうかもしれません。
私は新しく電動ドライバーを購入するときにどちらを買おうか、又は両方買おうか迷いましたが、兼用タイプを見つけ購入しました。
種類は多くありませんが、両方の機能があって、インパクトとドリルドライバーを兼用できる一丁二役の機種がありますので紹介します。
インパクトドライバーとドリルドライバー用途の違い
私は学生のときにホームセンターの工具売り場でアルバイトをしていましたが、「鉄板にドリルで穴を空けたいがインパクトドライバーを探している」と言っているお客様にこのインパクトドライバーとドリルドライバーの用途を違いを何度が説明したことがあります。
マキタや日立の電動工具カタログにはカテゴリとしてこの2種類が別れてはいますが、仕組みや用途がどう違うのがが説明されておらず、買うお客様の方も上述したように用途が分からずにいる人が意外に多いと思います。
インパクトドライバーの用途
インパクトドライバーは名前の通り、回転方向に対してインパクト(打撃)を与えて強いトルクでネジを締め付ける(緩める)ことを目的としています。内部機構にハンマーがあり、回転軸にトルクが掛かるとハンマーが作動して回転力に打撃が加わることによって、木材へのビス打ちなどスムースに行うことができます。
プロの使用例としては、大工さんが木材へのビス打ちをしたり、鳶職が足場パイプの固定金具のネジ締めをしたりするのに使われます。
インパクトドライバーは回転に打撃が加わるのであまり強いトルクで締め付けたくない場合やドリルで穴あけをする場合はドリルの歯を痛めてしまうので適していません。ただし、木材への穴あけは母材が柔らかいので切り口が荒くはなりますが使うことができます。
インパクトドライバで金属等の硬い材料に穴あけを行いたい場合は、トリガーを半押し程度でハンマーが効かない用に回転させながら使用すれば、ドリルの歯を痛めないで穴あけができます。
ドリルドライバーの用途
ドリルドライバーは回転スピードの調整と締付トルク調整の機能があり、穴あけや高トルクを必要としないネジ締めに適しています。
特に組み立て式の家具の組み立てはネジを打ち込む部分に下穴が空いていますので、インパクトドライバーを使うと締め込みすぎてしまうかもしれません。そういった場合はドリルドライバーでネジを締め付けすぎないようにトルク調整をして使用すると便利です。
ビットの取り付け部分がインパクトドライバーが六角軸なのに対して、ドリルドライバーはチャックですので六角軸も取り付けられる上、多種多様なビットが取り付けられます。
ちなみに、私はキッチンでドライバードリルに泡立て器を取り付けてミキサー代わりとしても使用しています。
インパクトドライバーとドライバードリル使い分けせず兼用できる機種は?
最近では電動ドライバの多機能化が進んでおり、インパクトドライバーとドリルドライバーの両方の機能を兼ね備えた兼用機が各社から発売されています。
インパクトドライバーとドリルドライバーの2丁買って使い分けるのではなく、兼用したいという人も多いと思いますので紹介します。
Makita 充電式4モードインパクトドライバ
「4モードインパクトドライバ」という名前ですが、
・回転+打撃でネジ締めに適した「インパクトモード」
・コンクリートに穴あけができる「振動ドリルモード」
・回転のみの動作でドリルでの穴あけに適した「ドリルモード」
・ドリルドライバーのようにクラッチによるトルク調整ができる「ネジ締めモード」
・ドリルビス(テクス用ネジ)専用の「テクスモード」
5種類の機能を兼ね備えています。
18Vタイプ
TP141DRGX
6.0Ahバッテリー×2本・充電器・ケース付
TP141DTX
5.0Ahバッテリー×2本・充電器・ケース付
TP141DRFX
3.0Ahバッテリー×2本・充電器・ケース付
14.4Vタイプ
TP131DRGX
6.0Ahバッテリー×2本・充電器・ケース付
TP131DRTX
5.0Ahバッテリー×2本・充電器・ケース付
TP131DRMX
4.0Ahバッテリー×2本・充電器・ケース付
TP131DZ
本体のみ、バッテリー・充電器・ケース別売
HI KOKI(日立工機) 電子パルスドライバ
HIKOKIは電子パルス方式(子制御によってeモーターの正転と逆転を高速で繰り返すことで、強力な締め付け力を発生させます。)で特許を取得しています。
電子パルス方式によって、低騒音と電動ドライバの多機能化を実現しました。
・インパクトドライバより静かな「電子パルスモード」
・ドリルドライバーのようにクラッチによるトルク調整ができる「電子クラッチモード」
・ドリルビス(テクス用ネジ)専用の「テクスモード」
・ボルト締付に特化した「ボルトモード」
・回転のみの動作でドリルでの穴あけに適した「ドリルモード」
5つの機能を兼ね備えています。
18Vタイプ
WM18DBL (2LXPK)
6.0Ahマルチボルトバッテリー×2本・充電器・ケース付
WM18DBL (2LYPK)
6.0Ahバッテリー×2本・充電器・ケース付
WM18DBL (NN)
本体のみ、バッテリー・充電器・ケース別売
14.4Vタイプ
WM14DBL (2LYPK)
6.0Ahバッテリー×2本・充電器・ケース付
WM14DBL (NN)
本体のみ、バッテリー・充電器・ケース別売
10.4Vタイプ
WM10DBL (2LCSK)
1.5Ahバッテリー×2本・充電器・ケース付
WM10DBL (NN)
本体のみ、バッテリー・充電器・ケース別売
BOSHとKYOCERA(RYOBI)にはインパクト・ドリルドライバー兼用機がない
BOSHとRYOBIの製品についても調べましたが、インパクトドライバーとドリルドライバーが兼用できる機種はありませんでした。
しかし、上記で紹介したのと同じような多機能モデルがありましたので一部紹介します。
KYOCERA(RYOBI) 充電式インパクトドライバ
KYOCERAのインパクトドライバーの最新機種(BID-11XR等)では5段階のモード切り替え機能があり、「ロックオンモード」でドリルでの穴あけが可能かと思いましたが、確認したところ取説に以下の記載が有りました。
※ロックコンモードの作業時でも負荷によっては打撃することがあります。
KYOCERA BID-10XR 取扱説明書
打撃を生じる負荷で連続運転すると、モーター焼けをするおそれがありますので、そのような負荷での使用は控えてください。
BOSH マルチドライバードリル
ボッシュはドライバードリルの先端部分を交換式として様々な用途に適応できるマルチドライバードリルが発売されています。振動ドリルまで対応していますが、インパクトドリルのように回転に打撃を加える機構がないためインパクトドライバーとドライバードリルの兼用機とは言えません。
まとめ
過去に私がインパクトドライバーとドリルドライバーの兼用機が欲しくて、このような兼用できる機種の紹介がインターネット上になかったので書きました。
私はマキタの機種を購入して5年程使用しています。
インパクト、ドリルドライバー兼用機のデメリットとしてはトルクや回転数等のスペックが専用機に比べて若干劣っているのと、価格が高い、構造が複雑になっているので壊れやすい等の口コミもありました。
ただ1丁2役で便利な上、インパクトドライバーとドリルドライバーの2台持ちより1台の方が荷物も増えないので作業現場やDIYで便利な一面もあると思います。