自宅に使っていない古いデスクトップパソコンがあったのでフリーソフトでNAS化してみました。MAC,Windowsのパソコン、iPhone,Androidのスマホ全て持っているのでこれら端末でネットワークHDDのデータを共有できる設定方法を解説します。
NASとは
NASとは(Network attached storage)の略でHDDやSSDをLANなどのネットワークに繋げて、ネットに繋がっているパソコンやスマホなどので保存したデータを共有できるものです。
例えば我が家だと、スマホで写真や動画をたくさん撮ってスマホのストレージがいっぱいになったときはパソコンとスマホを繋いでデータをパソコンに保存しています。スマホのストレージを空けるためにスマホ内のデータを削除すると、保存してあるパソコンからのみでしかデータを見ることができません。NASがあればネットに繋がっているスマホやパソコンからデータを保存して、NASに接続さえすればどの端末からでもデータを見たり、編集することができるので便利です。
NASは大容量のデータを保存するのでデータの保存には主にHDDが使われています。RAIDと呼ばれるバックアップ機能使ってNASを設定すれば、NAS内部のHDDが壊れてデータにアクセスできなくなった場合にも復旧が可能で、データを保護する面でもパソコンやスマホ、USBメモリに入れておくよりも安全になります。
古い家庭用のデスクトップパソコンをNASとして使う
HP Z200 Work station 2010年2月発売
スペック
CPU | Intel Core i5-650 3.20GHz、73W、4 MBキャッシュ、1333メモリ、デュアルコア |
メモリー | DDR3 4GB |
HDD | SATA 500GB×1 250GB×1 |
10年以上前のモデルですが、Windows 10を入れてまだサクサク動いてました。
USB3.0に対応していなかったり3DCAD使うと流石に重くてお役御免となっていました。
これに寄せ集めのHDDを繋いでNASとして活用したいと思います。
NAS用のOSにEasyNASを選んだ理由
無料で使えるNASのOSをネットで調べていくつか試してみたのですが、バグがあったり動作スペックが高い、機能が多くてアップデートに時間がかかるなど、自宅のLAN内だけで使いたい私の用途からすると無駄な機能がなく設定が簡単だったのでEasyNASに行きつきました。
EasyNASは日本語に対応していないのが残念ですが、名前の通りイージー(簡単)に使えるので英語でも問題ないと思います。
EasyNASのダウンロード、インストール
EasyNASのホームページからダウンロードをクリック
EasyNAS 64bit verのISOファイルをダウンロードします。
インストール用USBの作成
ダウンロードしたISOファイルをCD-Rに書き込んでインストールディスクとすることもできますが、今回はインストール用USBを作成しました。
WindowsのパソコンでISOファイルをインストール用USBに書き込むためRufusをダウンロード
Rufus.exeを起動します。
先ほどダウンロードしたEasyNASのISOファイルを選択
削除しても良いUSBメモリーを接続・選択してスタートをクリック
このウィンドウが出てくるのでDDイメージモードで書き込むを選択してOKをクリックします。
警告メッセージもOK,OKで書き込み開始
書き込みが完了したらインストール用USBの完成です。
NAS用に使うHDDをフォーマット・診断
インストールする前にNAS用として使うHDDのデータを他に移したりして、削除しても良い状態で準備をしておきました。
OSのインストール用に250GB、RAIDを組んでファイル共有するように500GBのHDDを3台使用します。
これらHDDも古くてデータが入っているのでUBCDというパソコン診断・修復用ツールを使って物理フォーマット&エラーチェックを事前にしておきました。
EasyNASをインストール
作成したインストール用のUSBから起動できるようにパソコンのBIOSセットアップから起動順位を設定します。
起動順位の変更後、インストール用USBを挿してEasyNASを起動
「Install EasyNAS」を選択します
EasyNASのシステムファイルをインストールするHDDを選択
今回は250GBのHDDを選択しました。
インストールするHDDを選択すると、全てのデータを削除して良いか確認が出るのでOKを選択
インストールが開始されるのでしばらく待ちます
この画面が表示されればインストールが完了です。
Adminパスワードの設定、アップデート
EasyNASのインストールが完了後、この画面で「1」を入力、EnterでAdminパスワードを設定します
パスワードはアルファベットと数字の組み合わせである必要があります
続いて「4」、「Enter」を入力して、アップデートを読み込んだ後、「y」、「Enter」でアップデートすることができます。
アップデート後、「5」、「Enter」で再起動しておきます。インストール用USBはもう使用しないので抜いてしまって問題ありません。
EasyNASの初期設定(IPアドレス、ストレージ)
ブラウザから設定画面を開く
ここからNASとして使うための設定をブラウザから行います。
EasyNASをインストールしたパソコンの画面に表示されているIPアドレスのURLを他のパソコンのブラウザに入力し開きます。
私の場合「https://192.168.0.43:1443」でした。
WindowsのGoogle chromeで開いたところ、「この接続ではプライバシーが保護されません」とメッセージが表示されます。
「詳細情報」をクリック
↓
「192.168.**.**にアクセスする(安全ではありません)」をクリックしてログイン画面を開きます。
安全なのでご安心ください。
ログイン画面のユーザー名「admin」と先ほど設定したパスワードを入力して設定画面へログインできます
IPアドレスを設定する
画面左のリストから「System」→「Network Settings」を開き、
Actionsの「🖋」マークをクリックします
IPアドレスはDHCP(自動取得)だと、アドレスが勝手に変わってしまい面倒ですのでStatic(静的)を選択します
私はIPアドレスを [192.168.0.43] から分かりやすくなるように [192.168.0.20] に変更しました
IPアドレスを変更する場合は他のPCやスマホ、プリンターなどのネットワーク機器に設定されているアドレスと被らないようにしなければなりません
わからない場合はそのままでも問題なしです
IPアドレス設定後は右上のメニューから「Restart」をクリック、若しくはパソコンの電源ボタンを押して再起動させます
ブラウザから設定画面にアクセスするIPアドレスも変わるので再起動後は入力し直しで設定画面を開きます
ストレージの設定
「Storage」→「Disk Manager」で接続されているHDDやSSDの一覧が見れます
私は250GBをシステムファイル、500GB×3台をNAS用として設定します
「Storage」→「File System Manager」→ [Create File System] をクリック
Name : | ファイルシステム名を入力(お好きな名前でOK) |
Raid Profile : | Raidの種類を選択します |
Compression : | 圧縮設定 |
Mount Options : | マウント設定「Read & Write」を選びます |
Disks : | 使用するディスクを複数ある場合はCTRLキーを押しながら選択します |
SSD Optimization : | SSD最適化 |
Auto Defrag : | 自動デフラグ |
Auto Mount : | 自動マウント |
私は画像のようにHDDを3台でRAID5で設定しました
ファイルシステムの設定完了後
RAID5で設定したので500GBのHDD3台で約1TB分のデータが保存できます。
RAID5は3台中1台のHDDが壊れても2台が稼働できていればデータの復旧が可能です。
2台壊れた場合は復旧できませんが、RAID無しで保存しておくより安全だと思いこの設定にしてみました
ネットワーク上でのファイル共有の設定
自宅のLAN(ローカルエリアネットワーク)内に繋がっている全てのパソコンやスマホでNASのHDDに保存したデータにアクセスできるように設定します。
グループの設定
グループを設定することで、設定したグループのユーザーからは見えないようにしたり、読み書き、読み込みのみ等アクセス権限の設定ができます。
家庭で使う場合はユーザーが多くないので設定しなくとも問題ありません
[Create Group]でグループを新規作成できます
試しに「group1」という名前で全ての権限を与えて作ってみました
ユーザーの設定
「System」→「Users Manager」→[Create User] をクリック
ユーザー名とパスワードを設定します
ここで先ほどグループを設定していた場合はどのグループに属すか選択できます
ボリュームの設定
Volume Name: | ボリュームの名前 (お好きな名前でOK) |
File System: | 先ほど設定したファイルシステムを選択 |
User Owner: | 権限を与えるユーザーを設定 |
Group Owner: | 権限を与えるグループを設定(usersを選択すると全てのユーザー) |
User Permission: | ユーザーへの権限を設定 |
Group Permission: | グループへの権限を設定 |
Others Permissions: | その他アクセスへの権限を設定 |
File System Quota Limit: | ファイルシステムへの割り当て制限(0を入力で制限無し) |
私は画像のように設定しました
SAMBAをインストール、設定
「System」→「Addons」をクリック
Name「easynas-fs-samba」 Description「SAMBA addons for EasyNAS」行のActuons「⬇️」ボタンでSAMBAをダウンロード&インストールします
インストール完了後
左のメニューに「File Sharing」の欄が増えていると思います
「SAMBA」をクリック
「Shared Volumes」→[Add Samba Share]をクリック
先ほど追加したボリュームを設定します
「Recycle」にチェックを入れると削除操作したあとのゴミ箱が表示されるようになるので画像のようにチェックを入れておきました。
SAMBAの共有するボリュームの設定ができたらSAMBAとMNBを「ON」にして起動します
以上でEasyNASでのファイル共有の設定が完了です
パソコンやスマホからNASへアクセスする
Windows10の場合
エクスプローラーを開きアドレスに「¥¥192.168.0.20」のようにEasyNASの設定したIPアドレスを入力することで共有ファイルにアクセスできます。
エラーでアクセスできない場合
データの書き込みやアクセスできない場合
共有のフォルダアイコンを右クリック→「ネットワークドライブの割り当て」を開き
「別の資格情報を使用して接続する」にチェックを入れて設定します
設定後、再度開くとネットワーク資格情報の入力画面が出てきますので、EasyNASに設定したユーザー名とパスワードを入れることでアクセスできます
Macの場合
Finderを起動して左のリストに「easynas」が追加されていますので選択してファイルを開くことができます
若しくはFinderのメニューから「移動」→「サーバーに接続」を選択
「smb://192.168.0.20」のように設定したEasyNASのIPアドレスを入力して接続できます。
スマホの場合
Amazon Fire TV stick
Amazon Fire TV stickにVLCメディアプレイヤーを使って、NASに保存した動画をテレビで再生して見たりもしています