屈折計は水分に溶け込んでいる物質の濃度が測れるので、糖度や塩分濃度を測定するのに使用されます。今回、自家醸造したビールのアルコール度数を計ってみたくて、屈折計を買ってみましたので校正方法や自分が実際に使った方法について紹介します。
屈折計とは
光は基本的に真っ直ぐ進みますが、空気と水など異なる物質を透過するときに折れ曲がる(屈折する)性質があります。屈折計はこの光の屈折を利用して、水分に溶け込んだ物質の濃度を測定できる計器です。測定単位として濃度を表す単位であるBrixが使われるので「Brix計」や糖分を計る「糖度計」、塩分を計る「塩分濃度計」、「ラメーンスープ濃度計」など用途別の名前でも呼ばれています。
アルコール度数が測れる屈折計を購入
自家製ビールのアルコール度数を調べたかったので、アルコール度数の目盛が付いているタイプを購入しました。
価格は3000円くらい。
ケース無しの安い物で、写真のスポイトとドライバー、眼鏡拭きが付属しています。
小学校か中学校の家庭科の授業で一度だけ使った記憶がありましたが、まさか自分で興味を持って買うことになるとは思いもしませんでした。
屈折計の使い方
測定方法
1. プリズムカバーを空けて、測定する液体をプリズムの上に乗せます。
2. プリズムカバーを閉じる。
このとき、液体がプリズム全体に広がっていることを確認します。
←のようにカバーを閉じてプリズム全体に液が広がっていないとキチンと測定できません。
3. プリズムから光が入るように屈折計を構えて、接眼レンズをのぞき込み、ピント調整して値を読みます。
画像は試しに消毒用アルコールを計ってみたところ。
校正方法
1.校正用の精製水、若しくは蒸留水を測定し、0の目盛であることを確認します。
(私はそこまで精度が必要ないので水道水を使用)
2.測定した目盛の位置が0からズレていた場合は校正ネジのゴムキャップを外すと0調整用のマイナスネジがあるのでそこを回して0位置の調整を行います。
お酒のアルコール度数を計ってみた
梅酒
月桂冠 梅酒
パッケージアルコール度数:13.0%
測定結果:12.5%くらい
大体パッケージと一緒の値でした。
ビール
ハイネケン
パッケージアルコール度数:5%
測定結果:2.3%くらい
パッケージ表示の値の半分以下でした。
屈折計でお酒のアルコール度数は正確に測れない!?
上記の結果から特にハイネケンが5%のはずなのに測定結果が2.3%だったので全く測ったアルコール度数が正確ではありませんでした。
原因を調べてみたところ、ビールやワイン・日本酒のような醸造酒はアルコール分以外に糖分やミネラルなどその他の成分が多く含まれるので、測れるのは正確なアルコール度数ではなく「潜在アルコール度数」になるとのことでした。
焼酎・ウイスキー・ウォッカ等の蒸留酒は比較的正確なアルコール度数が測れるようです。
梅酒はアルコール分の元が焼酎なのでパッケージ表示13%に対して測定結果が12.5%と比較的正確な値が測れたのだと思います。
醸造酒と蒸留酒の違い
お酒は酵母に糖分を与えて、酵母が発酵すること(醸造)によって炭酸ガスとアルコールが作り出されます。この働きを利用して作られたものがビール・ワイン・日本酒などの「醸造酒」です。
醸造酒を一度沸騰させて、アルコールは熱より沸点が低いので水より先に沸騰、冷やして液体に戻すことでアルコールと水分を分離(蒸留)し、水を加えてアルコール度数を調整したのが焼酎・ウイスキー・ウォッカ等の「蒸留酒」になります。
目的だったビールのアルコール度数を正確には測れませんでしたが、ハイネケンを測定してみた結果から実際のアルコール度数から屈折計の測定結果がおおよそ半分になると分かったので、目安としては十分に使えるはずです。
屈折計でビールの1次発酵完了の目安として毎日サンプルを測定して値が安定して変わらなくなったら発酵完了としても使えると思うので、今後も使ってみるつもりです。